2010年2月24日
報道各位
ラサール インベストメント マネージメント
2010年「 不動産投資戦略」レポートを発表
*商用不動産に投資機会
世界有数の不動産投資顧問会社であるラサール インベストメント マネージメント(本社:米国イリノイ州シカゴ、最高経営責任者(CEO): ジェフ・ジェイコブソン、以下「ラサール」)は、2010年の世界の不動産市場の見通しをまとめた調査レポート「不動産投資戦略」(16回目)をこのほど発表しました。
同調査レポートによると、調査しているほぼすべての主要市場において、不動産の資産価値の急速な下落は止まり、投資家の信頼を取り戻し始めています。不動産の市場価格の不透明な状況は改善し、不動産取引高も増加し始めています。2010年はリスクに対するプレミアムが見直され正常化し始める年になるでしょう。投資家は不確実性の高い時期には、(1)全面的なリスク回避(既に、過度に安全志向の資金が数少ない低リスクの投資案件に過剰に集中しています)と、(2) 過度に高いリスク許容度との間の適切なバランスを探るべきです。
ラサール インベストメント マネージメントのグローバル ストラテジスト、ジャック・ゴードンは、「商用不動産の投資家は2010年について、慎重ながらも楽観的な見通しを持つべきです。しかし、不動産市場は一般の景気回復サイクルから遅れており、他の資産クラスと違う動きを見せるでしょう。不動産の賃貸収入による安定したインカムは、世界的な景気後退を大過なく乗り切ることができました。しかしながら、これらの賃貸借契約が弱含みの不動産市場で更新されるに従い、多くの国で今後の数年間、賃貸収入はマイナスの影響を受けるでしょう」と述べています。
さらに、「同時に商用不動産は、住宅用不動産、金融およびその他の産業セクターほどの景気刺激策や産業救済策を直接的に受けることはありませんでした。そして、実物不動産の価格は株式や債券ほど急速に回復していません。これらの違いからみると今後、ポートフォリオにおける不動産の分散投資効果が出てくると思われます」と述べています。
ラサールは、投資家はリスク回避的になるのは当然であると認識しているものの、2010年(さらに2011年)はローン条件を充足しないことによって生じる案件等が出現し、合理性のある価格形成がなされ始め、投資機会が訪れるものとみています。また、2010-2011年の投資戦略策定にあたっては、必要とするリターン(利益)のはっきりした見解を持つ投資家は成功すると述べています。
また商用不動産投資の主なリスクは、価格の動向を左右する資本市場にあるが、不動産資本市場は今後数年間、不安定になるとラサールは分析しています。多くの政府が実施した金融と財政の刺激策の結果、ファンダメンタルズが安定的な回復を示す前に不動産取引に多額の資金が還流するものと考えられます。この過剰流動資金のリスクは中国と英国では既に一定程度みられています。このリスクをコントロールするには、投資家は現実的な売買取引一つ一つにおいて必要リターンを獲得するという投資原則に従うべきだと考えています。
世界の主要な商用不動産市場は、金融危機のピーク時に同時に下落しましたが、各市場とも異なった回復を見せています。
ラサールは、例えば英国では不動産価格が急反発し、資本価値がまだ上昇するだろうが、英国へのもっとも良い投資機会は既に過ぎ去ったことは明らかだと考えています。欧州大陸における投資環境は引き続き、各国ごとに大きく異なっています。2010年にはフランスとドイツでは不動産投資・取引が顕在化してくるでしょうが、その他の欧州大陸の各市場は引き続き異なるスピードで価格調整が進み、中東欧では引き続き市場は停滞しています。
2010年の米国不動産市場は英国と違い緩い回復が見られるが、景気は底を探っており、2010年の後半まで、弱い経済のファンダメンタルズを映して空室率の上昇と価格の下落が進むでしょう。経済成長の縮小を経験したアジア諸国は縮小幅を2010年までに取り戻すと思われ、また2010年に中国とインドの急成長も予想されるため、この地域が投資家に最も大きな投資機会を与えると予想されます。
地域別の展望
ラサールの不動産投資戦略は、リサーチのプロフェッショナル分析やファンド・マネージャーのグローバル・ネットワークをもとに、2010年のアジア太平洋圏、欧州大陸、北米における不動産ファンダメンタルズの徹底分析を提供します。
欧州 - 異なるスピードで移動
レポートの共著者、ラサール インベストメント マネージメント欧州地域 投資戦略・リサーチ部門統括のロビン・グッドチャイルドは「景気回復のペースが比較的遅いことから、欧州での最良の投資機会がどのようなものになるのかは、不動産賃貸需要が高まることよりもむしろ、資本市場の動向によって決められることでしょう。不動産取引の流動性や透明性は地域によって異なりますが、その両方が投資機会とリスクに影響を及ぼします」と述べています。
投資機会に影響を与える欧州全域に共通のテーマとしては以下の事項が挙げられます。
- ファンダメンタルズの良好な不動産:ラサールは、今後数年間に亘って賃料が下落したとしても、安定した収益を確保できると推察される資産や、賃貸市場が回復した場合に賃料の上昇メリットを享受できる資産への投資機会を選好します。
- 金融機関とのパートナーシップ:銀行が不良債権をバランスシートから処分していくにつれて、集中的なアセットマネジメントを要する不良債権ポートフォリオ等に投資をしたいと考えている投資家にとっては、魅力的な投資機会が出現するでしょう。
- 大型案件:エクイティ性資金が豊富なために、借入に依存する必要のない投資家は、大型案件(5000万ユーロ超)に関して魅力的な価格で優良不動産を取得しうる機会があり、こうした機会を活用すべきです。
- 環境適合性の高い資産:グリーン志向の強い企業方針や欧州全体の規制上の要求の高まりによって、環境適合性の高い物件に対する需要は今後も継続するものとラサールでは考えています。
- 英国:英国の銀行の中には欧州でも最大級の不動産エクスポージャーを保有しているところがあり、金融機関との強いパートナーシップから大きな投資機会が得られる可能性も充分にあります。
- フランスおよびドイツ:特にフランス、ドイツとスカンジナビアにおいては、コアなリテールと倉庫を有力視しています。
- スペインおよびCEE:スペインとCEEにおいても一定の魅力的な投資機会が出現しますが、時期的な遅れが予測され、2010年後半(2011年にずれ込む可能性もあり)以降になるものと見込まれます。
米国 - ゆっくりと角を曲って
ラサール インベストメント マネージメント米国投資戦略統括のウィリアム・マーは「投資機会は2010年に現れつつあるものの、特に米国とメキシコでは限定的なものとなるでしょう。米国での最良の投資機会は、コア戦略と高リターン戦略の両方にとっては、返済期限を迎え債務不履行が生じる可能性がある大量のローン案件から出現するものと思われます。カナダとメキシコにおける投資機会は米国と大きく異なります。カナダは資本市場とファンダメンタルズの両方がより均衡点に近い一方、メキシコは米国消費が停滞する中、深刻な景気後退からなかなかぬけだせず、適正な市場価格に基づいた投資機会を見出すことは難しいでしょう。
- 米国では、ラサールは、低リスク且つ価格調整の済んだコア型不動産を投資対象とすることを推奨いたします。またラサールは、過去5年間に亘る過度なレバレッジ水準により生じた問題から様々な投資機会が生ずるものと予想しています。
- コア投資家に対しては、賃貸マンションのオーバーウェイト・ポジションを推奨いたします。これは、同セクターの需要が最も早く回復するためです。また、小売店舗(例:食料雑貨店をテナントとするショッピングセンター)や良好な流通市場に位置する近代的な物流施設についても選別的に投資することを推奨いたします。
- しかしながら、オフィス・セクターの案件で最も過度なレバレッジが掛けられたこともあり、コア戦略と高リターン戦略の両方の対象となりうる投資機会が、ディストレス状態にあるオフィス所有者から出現する可能性があります。
- 推奨される高リターン投資戦略には、不良債権への投資、デベロッパー、個々の実物不動産、およびレンダーに「救済資本」を提供する様々な仕組みへの投資が挙げられます。
- 2010年には賃貸マンション投資のメリットが全て価格に織り込まれる可能性があります。市場のファンダメンタルズから見ればオフィス投資には賛成できません。物件評価にあたってはリーシング市場が弱い数年は慎重に考慮する必要があります。
- メキシコは適正な市場価格を見出せない状況は今後も継続するものと見ています。このような投資環境において、ラサールは(非製造業に依存する市場における)販売用住宅を選好します。これらの物件は今後も引き続き良好なリスク調整後リターンをもたらし、価格の見定めも容易でしょう。
- カナダのコア投資家は、引き続き同国において最も安定した資産である賃貸マンションへのオーバーウェイト・ポジションを構築すべきです。一方、ラサールはオフィス・セクターに対する中立エクスポージャーを推奨いたします。
アジア太平洋圏 - 先頭に立って
アジア太平洋地域 投資戦略・リサーチ部門統括ケネス・ヅァンは、「アジア太平洋圏では、物件所有者とレンダーの双方で財務上の困難に直面している者がいるという環境の中で、経済成長率も世界の他の地域よりも高いことから、2010年は投資家に幅広い投資機会が提供されることでしょう。コア投資家は、安定した市場とセクターを重点ターゲットとし、特に利回りが長期的水準を上回るセクターに焦点を当てるべきです。現在の魅力的な収益率は、資本市場が回復し、利回りが正常な水準まで低下する局面で一層拡大するでしょう。オポチュニスティック投資家は、財務上の問題が生じたプロジェクトへのエクイティ注入または現金が不足しているデベロッパーに救済資本が必要となるような、オフマーケット取引の機会を享受することができます」と述べています。
- アジア太平洋圏の主要オフィス市場では、ビジネス中心街(CBD) のAクラス物件において価格上振れの可能性が最も高いでしょう。
- アジア太平洋圏全域における小売店舗セクターの将来見通しは、コア投資と高リターンの開発投資ともに良好です。中国その他の多くの国では、今後10年以上に亘って景気拡大するとともに消費支出が高まるでしょう。
- 日本の小売店舗および物流施設へのコア投資:日本の小売店舗および物流施設セクターでのコア資産は、近代的物件が市場に導入される初期段階にあります。陳腐化した賃貸物件・スペースが次第に市場で減少していくとともに、新規の近代的物件はアウトパフォームするでしょう。ラサールは、都市にある小売店舗よりも郊外型の小売店舗を選好します。
- 香港およびシンガポールの物流施設セクター:香港とシンガポールの物流施設セクターは貿易依存度が高いため、日本に比べてボラティリティが高くなっています。このセクターは、世界貿易が回復するに従ってアウトパフォームするでしょう。
- オーストラリアのオフィスおよび物流施設へのコア投資:オーストラリアのオフィスおよび物流施設セクターにおけるコア資産、特にシドニーとメルボルンのCBDのオフィス物件で好調なパフォーマンスが期待できるでしょう。
- 日本のディストレス案件:日本のディストレス案件は特に魅力的であり、破綻した開発(特に物流施設とホテル)、不良債権、物流施設の新規開発などが含まれます。
- 中国の住宅用不動産、小売店舗、および物流施設セクター:中国での最も妙味のある高リターン投資機会には、二次的規模の都市における住宅用不動産、小売店舗、そして物流施設の開発が挙げられます。
- オーストラリアの不良債権とメザニンローン:オーストラリアでの高リターン投資機会は、不良債権とメザニンローン、そして物流拠点市場での物流施設開発案件が挙げられます。
日本
日本は、アジア地域経済の回復に遅れているものの、「二番底」のリスクが後退しています。不動産のファンダメンタルズは2012年まで厳しい状況にあります。賃料の下落は一服し、今後の下落幅は限定的であるものの不動産純営業利益(NOI)の低下はこれから生じます。NOIの下落に伴い、返済不能に陥る物件、特にオフィス及び都心型商業施設物件の数が増加するのに従って、売買市場が活発になるでしょう。但し、売買市場では、そうした強制売却による物件供給の増加に見合った機関投資家からの投資需要が想定されるため、市場の均衡状態の崩壊は回避されるでしょう。キャップレートの上昇は落ち着いたものの、住宅以外のセクターでは短期的な上昇リスクが残っています。但し、更なるキャップレート上昇が生じても小幅で済むものと予測されます。長期投資的な観点からみれば、殆ど全ての不動産セクターのプライシングは適正な水準になっていると言えます。
日本では金融危機以降も保険会社の実物不動産投資に対する意欲は弱まっていません。一方、年金基金のポートフォリオにおける不動産への配分は非常に低いまま推移しており、過去20年間に亘って1%を下回っています。年金基金にとって不動産は「オルタナティブ投資」の一つであると考えられています。金融危機以前は、不動産に投資する年金基金の多くがその配分を増やしつつあり、投資対象が実物不動産からリートや不動産ファンド投資に移行しつつありました。金融危機によってそのトレンドは一時的に弱まっていますが、将来的には機関投資家と個人投資家のどちらにとっても、不動産はポートフォリオの構築に不可欠で、適切なリスクリターン評価に即した投資対象資産となりうるものという見直しが進んでいくものと見られます。
*商用不動産(commercial property):賃貸収益を生む不動産として取引されている、オフィス、物流、 商業施設、賃貸住宅、ホテルセクターなどを示しています。
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本件に関する問い合わせ先:
ラサール インベストメント マネージメント株式会社
広報担当:今泉、鈴木、アサード(IFC)Tel:03-5532-8921 Fax:03-5532-8367
ラサールインベストメントマネージメントについて
ラサール インベストメント マネージメントは、世界最大の総合不動産サービス企業であるジョーンズラングラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にある、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動をしており、総運用資産残高は約399億ドルです(2009年9月末現在)。私募、公募、デット、エクイティのあらゆる不動産投資活動を世界中の不動産キャピタルマーケット、オペレーティングマーケットで展開しています。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、保険会社、政府、その他基金(大学基金など)、個人投資家などです。
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